ペットの口臭が気になったことはありませんか?
わんちゃん、ねこちゃんの寿命が延びるとともに、高齢期の歯周病も大きな問題となってきています。
お口のトラブルは初期には目立つ症状が出ないため、ご家族の知らないうちに歯周病が進行していることがよくあります。
わんちゃん、ねこちゃんの歯のケアについてよくあるご質問や誤解をまとめてみました。
一緒に勉強してみましょう!
Q1.みんなハミガキしてるの?
Q2.ガムをあげていれば大丈夫?
Q3.何歳から始めるの?
Q4.ハミガキしないとどうなるの?
Q5.ハミガキはどうやるの?
Q6.今からでも間に合う?
Q7.歯石はどうやって除去するの?
Q8.『無麻酔スケーリング』ってなに?
Q1.みんなハミガキしてるの?
ご家庭のわんちゃん、ねこちゃんのハミガキはどのくらいの頻度で行っていますか?
歯垢が歯石に変化するのを阻止するためには、最低でも1週間に3回のハミガキが必要です!
しかし、以下のグラフのように、1週間に3回以上のハミガキが定着しているご家族は1/3に過ぎません。
これはハミガキ教室前の割合であり、ハミガキ教室後のご家庭では頻度が増えています。
Q2.ガムをあげていれば大丈夫?
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ハミガキのできない日に使う、遊びの延長もしくはオヤツとして与える、お留守番のご褒美として与える…などなど、工夫次第で非常に有効です。
しかしあくまでも『補助』であり、『勝手に食べて、勝手に綺麗になる』
…という効果は期待しないでくださいね。
ハミガキなしでは不十分です。
Q3.何歳から始めるの?
2つの理由から、できる限り若いうちから始めることをオススメします!
歯周病を予防するため
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ハミガキで歯垢の段階でストップしましょう!
『歯垢』が『歯石』になってしまうと動物病院での歯石除去が必要となります。
お口を触れるようにするため
以下のアンケート結果からもわかるように、若いうちからお口を触れるように慣らしておくことが重要です。
嫌がる子にハミガキに慣れてもらうのはかなり時間がかかり、ご家族がハミガキを断念する原因となります。
特に、歯周病で痛みのある子のお口に触るのは困難です。
できる限り若いうちから始めましょう!
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わんちゃんのご家族の悩み
1位 無駄吠え
2位 トイレトレーニング
3位 ブラッシングに慣らす
4位 ハミガキに慣らす
5位 耳掃除に慣らす
![](../_src/2955/146234325_24b28a24f3_b.jpg?v=1717251078896)
ねこちゃんのご家族の悩み
1位 ハミガキに慣らす
2位 家族以外の人にならす
3位 人の手で遊んでしまう
4位 キャリーに慣らす
5位 爪切りに慣らす
Q4.ハミガキしないとどうなるの?
人間と異なり、虫歯になることはまずありません。
そのかわり、わんちゃんねこちゃんのお口は歯周病になりやすい環境です。
歯周病が進行すると以下のような症状がみられます。
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お口の 臭い が気になる
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歯肉と歯の境目が赤い
![](../_src/2961/003.png?v=1717251078896)
歯に 茶色の塊 がついている
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目ヤニ や 鼻水 が増えた
![](../_src/2965/005.png?v=1717251078896)
よだれ が多い
![](../_src/2967/006.png?v=1717251078896)
目の下や頬が 腫れ ている
歯周病が進行し『歯を全部抜いた』という子もみかけるのではないでしょうか。
また、お口周りの症状だけでなく、全身すべての内臓に歯周病菌の毒素が悪影響を与え、様々な病気を引き起こします。
『歯石の影響で心臓病になる』というのは人間だけではありません。
Q5.ハミガキはどうやるの?
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ですから、歯垢(≒食べかす)をふき取るようなイメージを持ってください。
ブラシを使って食べかすを除去することが理想ですが、まずはガーゼなどを使って 歯の汚れをふき取るようにしてみましょう。
![](../_src/2971/q5_2.jpg?v=1717251078896)
当院の補助スタッフたちも喜んでくれています。
わんちゃん、ねこちゃんともに、歯石のつきやすい 臼歯(奥歯)を重点的に綺麗にしてください。
ハミガキ教室や普段の健診の際に一緒に練習していきましょう!
無理やり磨くのではなく、楽しく 継続することが大切です!
Q6.今からでも間に合う?
何歳であっても、ハミガキ習慣のスタートに手遅れはありません。
ペットとご家族にハミガキの習慣ができるまで、若い子よりもコツと根気がいるだけです。
しかし、すでに沈着している歯石はハミガキでは除去できません。
歯周病の進行度に合わせた治療も平行して行う必要があります。
わんちゃん、ねこちゃんの状況に合わせ、最適な治療法、最適なハミガキ方法を相談していきましょう。
Q7.歯石はどうやって除去するの?
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歯石は目に見える表面よりも、歯と歯肉の間のポケット部分が重要です。
ポケットに歯石が沈着し、歯石が後退することで歯周病が進行し、歯と歯肉がダメになります。
![](../_src/2975/q7_before.jpg?v=1717251078896)
![](../_src/2977/q7_after.jpg?v=1717251078896)
したがって、下図のような器具を使って手動で歯石を除去しても、
見える部位が綺麗になるだけでポケット内の歯石は除去できません。
![](../_src/2979/q7_8ca28cfb83p83a.png?v=1717251078896)
狭い歯周ポケットを超音波の作用で綺麗にするために、麻酔をかける必要があることが人間との違いです。
また動物の場合、スケーラーから出る冷却水を誤嚥する危険があるため、麻酔なしでのスケーリングはオススメしません。
私たちも、歯医者さんでの治療中に、水を飲み込んでしまわないように苦労しますよね。
スケーリング後はハミガキで歯石の 再付着を予防していきましょう!
Q8.『無麻酔スケーリング』ってなに?
麻酔をかけずに歯石除去をすることを指します。
ワンちゃん・ネコちゃんの飼い主様に『ペットに優しい治療』という誤解が広がっています。
下記のような様々なデメリットがあるため推奨されません。
- 嫌がるペットを押さえつけ、怪我の原因となる
- 強いストレスを与えるため、ご自宅でのハミガキが困難になる
- 十分な『歯石除去』と『歯の研磨』ができない
- スケーラーの冷却水を誤嚥して肺炎を起こすリスクがある
- 歯科レントゲン撮影ができないため、抜歯すべき歯が残る
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当然ですが、『無麻酔』では適切なレントゲン撮影ができず、抜くべき歯がみつけられません。
そして抜くべき歯を安全に抜くことができず、歯周病の末に顎の骨折を生じることがあります。
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多様なリスクがありながらも、『無麻酔スケーリング』をしている動物病院が散見されます。
近年は、ペットショップやトリミングサロンでも行っているところがあるようです。
『無麻酔スケーリング』は健康に害のある非常に危険な行為です。
日本小動物歯科研究会や アメリカ獣医歯科学会も 警告を発表しています。『ペットに優しい治療』と誤解をされないよう、ご注意ください。
お口だけの問題ではなく、全身に悪影響を及ぼす怖いトラブルです。
『口臭が気になる』方、ペットのお口をチェックしてみてくださいね。
気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。