Category Archives: 病気のご案内

夏から秋にかけて多い、レプトスピラ症

こんにちは、看護師の北島が担当いたします。

今回は、【レプトスピラ症】についてです。

あまり耳にしない病名かもしれませんが、コロナ禍の影響でキャンプなどのアウトドア人気が高まっているため、リスクが高まっている疾患です。

  

レプトスピラ症とは、レプトスピラという細菌による感染症です。

保菌動物の尿から感染します。

人間にも感染する人獣共通感染症であり、もし感染してしまったら国へ報告しなければならない『届け出伝染病』でもあります。

感染ルート

保菌動物は犬とネズミです。

感染した犬またはネズミの尿に触れたり、尿に汚染された土や水に触れたりすることで感染します。都会でもネズミの多い所で感染が見られる傾向にあります。

夏から秋にかけて発症が多いのは、キャンプ中に川辺で感染するためです。

また、活動量の多い中年齢の犬に感染が多い傾向があります。

免疫力が高い中年齢でもお構いなしに感染します

症状

犬では、肝不全や腎不全が起き、重度の場合では死亡することもあります。

猫での発症はまれです。

人では、風邪のような症状で治癒してしまう軽症型から、肝障害、腎障害、出血などが見られる重症型まで様々です。症状としては、発熱、頭痛、腹痛、黄疸、出血傾向などがあります。

予防について

予防として、犬では7種ワクチンの中にレプトスピラ症のワクチンも含まれています。

よくアウトドアに連れて行かれる方は7種ワクチンを選択しましょう。

ワクチン接種している成犬でも感染を完全に防ぐことはできません。

接種後の対策として

1.不必要に水辺に近づけない、

2.ネズミの多い場所を避けるなどの注意が必要です。

 

これからの夏、キャンプや川辺など、沢山おでかけする機会があると思います!

出先での注意や、対策についての知識を身に着けて、健康的に夏を楽しんでください!

熱中症にもお気を付けて下さいね!では!

椎間板ヘルニア

こんにちは!獣医師の五十嵐です。
急に暑くなってきて、人も動物もばててしまいそうですね。
熱中症が怖い季節なので、自分のためにもわが子のためにも、我慢せずにクーラーをいれましょう。

さて、今回は脊髄疾患の有名どころ、椎間板ヘルニアをご紹介します。
背骨と背骨がぶつかり合わないようにクッションの役割をしているのが椎間板です。
椎間板ヘルニアは、このクッションの部分が飛び出してしまっている状態のことを言います。

症状は、急に痛がって動けなくなったり、足を引きずるようになってしまったり、最悪の場合命にかかわることもあります。
シニアに多いと思われている方も多いですが、若い子にもかなりみられます。
特に活発で、ジャンプや階段の上り下りなどを激しくしているような子は要注意です!
また、ご家族の抱っこの仕方にも注意が必要です。
人間の赤ちゃんのようなたて抱っこや、背中を下にした抱っこ、上半身だけを持つような抱っこはNGです!!

日常生活で上記の点を気を付けるだけでも、発症のリスクは軽減できます。
椎間板ヘルニアと聞くとたかが腰痛というようにとらえてしまう方もいますが、最悪の場合命にかかわる怖い病気です。
日ごろから気を付けることでわが子の健康を守れるのであれば、それに越したことはないですよね。
なりやすい犬種はあるものの、どんな犬種でも起こりえます。(猫ちゃんも稀ですが報告はあります。)
他人事と思わずに、一度わが子の運動の程度と普段の抱っこの仕方を見直してみましょう!

クッシングは免疫力が下がる!?

好評連載中(?)の【クッシング症候群】シリーズです。
これまでに、以下の点をご紹介しました。
 ・元気そうに見えるため発見しにくい!
 ・体のいろいろな臓器に影響がでる!
 ・複数のタイプがあり診断が大切!

今回ご紹介したいのは、最も厄介な点の『免疫力の低下』です。
目に見えない『免疫力』。
当然、免疫力が低下してしまうと、ちょっとしたことで大きく体調を崩します。

上記クイズの回答はもちろん④です。
怪我が治りにくく、感染症が悪化しやすく、他の臓器の病気も起こりやすくなり、踏んだり蹴ったりです。

特にアイビーでは、腫瘍の子の手術が多いのですが、
『腫瘍による体力低下』+『クッシングでの免疫低下』の組み合わせは非常に厄介です。

手術そのもののリスクも高くなりますが、
手術後に傷がふさがりにくく、なかなか治らない・・・ということに。
これを防ぐために腫瘍の子の手術前には、クッシングも含めた他の病気の総チェックを欠かさず行います。

さて、クッシングではなぜ『免疫力』が低下するのでしょうか。

クッシングのほとんどの症例で副腎ホルモンの『コルチゾール』が過剰に分泌されています。
コルチゾールは体を守るために必要なホルモンですが、過剰になると免疫力が低下したり、血栓が詰まったり、傷が治りにくかったりと、困ったことになります。

皆さんも『ステロイドは副作用が怖いよ!』なんて聞いたことがあると思います。
このコルチゾールというホルモンは、ステロイドの一種なんです。
つまり、クッシング症候群はステロイドを毎日大量に飲み続けている状況と同じなんです。

それでは免疫力も落ちるだろうな・・・。
何事もほどほどが大切なんですね!

獣医師 宮澤 裕

クッシング症候群は結局なんなのか?

最近、連載(しているつもり)の【クッシング症候群】って、結局なんなの?
が、今回のテーマです。

先に正解を発表すると④です。

副腎ホルモンが過剰になることが多い『ホルモン(内分泌)系疾患』であり、
副腎自体が腫瘍となっていることもあるので『腫瘍系疾患』でもあり、
脳の一部が黒幕となっていることが多いので、副腎は『遠隔操作』されているだけのこともあります。

前回ご紹介したような『典型的な症状』は、副腎ホルモンが過剰になっているために生じます。
元気に見えて、背景で体を蝕んでいくやっかいな病気です。

《クッシング症候群の典型的な症状》は過去ブログをご覧ください

この過剰なホルモンを合成しにくくするのが『アドレスタン』という内服です。
現在は新型コロナの影響か、流通が非常に少なくなっています。
『ホルモンを合成しにくくする』という、このお薬の特徴に注意が必要です。
あくまでも症状を緩和するお薬であって、原因を解決しているわけではありません。

そして、クッシング症候群の約85%は副腎自体の病気ではなく、脳の一部である下垂体の異常が黒幕です。
この黒幕が副腎を遠隔操作して『副腎ホルモンが過剰』な状況にしているんです。

黒幕がちょっと張り切っているだけであれば、副腎ホルモンを合成しにくくする内服でうまく付き合っていけます。
しかし、黒幕が腫瘍化していたりすると、ホルモンを抑える内服を飲んでもホルモンの上昇が抑えきれません。
その場合は、手術や放射線治療で黒幕を直接たたく必要があります。

さらに厄介なのが、『副腎ホルモン』の中でも、『典型的な症状』とは異なる症状を出す『特殊な副腎ホルモン』を出すタイプや、そもそも『副腎ホルモン』を出していないタイプがあるんです。

もう、本当に大変。

『典型的な症状』ではないタイプは以下のような症状を起こします。
・急に倒れる
・高血圧
・とても心拍数が速い
・たまに鼻出血(鼻血)
・なぜか痩せていく

上記の症状は、いろいろな病気を除外する必要がありますが、【特殊なクッシング症候群】を疑うのは後回しになります。
つまり、とても見つけにくい・・・。

『副腎ホルモン』を出していないタイプに至っては、『健康だけど念のためペットドック』をしなければ見つけられず、症状のないまま致命的なレベルに進行していることが少なくありません。

もう、本当に大変。

結局、ご家族の感じる『うちの子のちょっとした違和感』や『健康なうちにペットドック』が非常に重要になります。

クッシング症候群について書いてあるWEBサイトや飼い主様向け雑誌はたくさんありますが、獣医師目線ではこんな厄介な疾患です。

でも、『予備軍』のうちに早期発見して、タイプを判別して、症状が出るのを待つ!状況に持ち込めれば、かなり有利に闘いを進めることも可能になってきています。

我が子が『シニアなのに元気』と違和感を感じたら、お気軽にご相談ください!

獣医師 宮澤 裕

クッシングの早期発見のために

前回は、クッシング症候群の治療薬の一部が流通していないことをご案内しました。
この【クッシング症候群】は非常に身近な疾患でありながら、発見されずに見逃されていることが多い疾患です。
それは『症状』が特殊だからです。

主に以下のような症状がみられます。
・よく食べる(多食)
・よく飲む(多飲多尿)
・お腹が張る(腹囲膨満)

一般的な感覚では、『うちの子はシニアなのによく食べて太っちゃって困るわ♪』と感じるはずです。
実際に『元気なシニア!』という子もいると思いますが、【クッシング症候群】の症状かもしれません。

その背景では、以下のような恐ろしいことが起こっています。
・免疫力の低下
・筋力の低下
・血栓症リスクの上昇
・血圧の上昇
・肝臓を中心とする臓器障害 などなど

散歩仲間で『元気だった子が急に亡くなった』という話を聞いたことはありませんか?
突然死を起こす病気の多くは『なんとなく元気がない』『ちょっと興奮すると席をする』などのサインがあります。
【クッシング症候群】は上記のように『元気に見える』ため、症状からの発見は困難です。

【クッシング症候群】を早期発見するポイントは……副腎のエコー検査です。

通常の副腎は左右ともに3~4mmの大きさですが、体格による誤差はありますが約6mmを超えると【クッシング症候群】を疑うことになります。

2021年の文献でも、副腎が既定の大きさを超えた場合の【クッシング症候群】の『診断精度は95.6%』と報告されています。

ワンちゃんの体内のたかだか数ミリの臓器を正確に描出する技術と検査機器がそろっていることが必要です。
エコー検査は痛くもなく、費用も高くありません。
【クッシング症候群】を疑う所見があったら気軽にエコーを見てみましょう!

獣医師 宮澤 裕

《参考文献》
2021 Ultrasound evaluation of adrenal gland size in clinically healthy dogs and in dogs with hyperadrenocorticism
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