好評連載中(?)の【クッシング症候群】シリーズです。
これまでに、以下の点をご紹介しました。
・元気そうに見えるため発見しにくい!
・体のいろいろな臓器に影響がでる!
・複数のタイプがあり診断が大切!
今回ご紹介したいのは、最も厄介な点の『免疫力の低下』です。
目に見えない『免疫力』。
当然、免疫力が低下してしまうと、ちょっとしたことで大きく体調を崩します。
上記クイズの回答はもちろん④です。
怪我が治りにくく、感染症が悪化しやすく、他の臓器の病気も起こりやすくなり、踏んだり蹴ったりです。
特にアイビーでは、腫瘍の子の手術が多いのですが、
『腫瘍による体力低下』+『クッシングでの免疫低下』の組み合わせは非常に厄介です。
手術そのもののリスクも高くなりますが、
手術後に傷がふさがりにくく、なかなか治らない・・・ということに。
これを防ぐために腫瘍の子の手術前には、クッシングも含めた他の病気の総チェックを欠かさず行います。
さて、クッシングではなぜ『免疫力』が低下するのでしょうか。
クッシングのほとんどの症例で副腎ホルモンの『コルチゾール』が過剰に分泌されています。
コルチゾールは体を守るために必要なホルモンですが、過剰になると免疫力が低下したり、血栓が詰まったり、傷が治りにくかったりと、困ったことになります。
皆さんも『ステロイドは副作用が怖いよ!』なんて聞いたことがあると思います。
このコルチゾールというホルモンは、ステロイドの一種なんです。
つまり、クッシング症候群はステロイドを毎日大量に飲み続けている状況と同じなんです。
それでは免疫力も落ちるだろうな・・・。
何事もほどほどが大切なんですね!
獣医師 宮澤 裕