Monthly Archives: 2月 2021

バイオマーカーって!?

外部の検査センターで計測する『バイオマーカー』のうちいくつかの価格が上がるようです。
対象となるバイオマーカーのうち、アイビーで使用しているものは以下の2つです。

心臓マーカー:NT-pro BNP(5,475円へ)
腎臓マーカー:SDMA(3,000円へ)

同じ子が頻繁に計測することはないのですが、便利な検査だけに価格が上がるのは残念ですね。

そもそも、『バイオマーカー』とはどのようなものなのでしょうか。

通常、病気の診断や進行度の把握のためは、血液検査やエコー検査などさまざまな検査を組み合わせる必要があります。

少量の血液や尿だけで、特定の病気の重症度を数値化するタイプの検査をバイオマーカーと呼びます。
ヒトであれば、『がんマーカー』や『糖尿病マーカー』が耳慣れているのではないでしょうか。

ワンちゃん、ネコちゃんにも多くのバイオマーカーがあります。
早期発見が重要な腎臓病、心臓病、がんのマーカーは非常に重要です。
今回は、代表として腎臓マーカーのSDMAをご紹介します。

一般的な血液検査では、腎臓病は『腎機能が25%まで低下』しないと検出できません。
一方、腎臓マーカーを計測することで『腎機能が60%まで低下』した段階で検出が可能です。

腎臓病は治すことができないため、まだ腎機能が残っているうちに検出できると、その後の人生において非常に有利になります。
検出できるタイミングが従来の検査よりもどのくらい早いかというと…
ワンちゃんで約10か月、ネコちゃんで約17か月も早く見つけられます!

これだけ早く病気を見つけて先手を打てると、老後が大きく変わってきます。
バイオマーカーを上手く活用することで、病気で苦しまない老後にしたいですね!

獣医師 宮澤 裕

冬の乾燥からノドを守りましょう!

冬はノドがイガイガしますね。
今年はマスクを着けている時間が長いからか、ノドのイガイガが軽い気がします。
『新型コロナあるある』でしょうか。

呼吸器の乾燥は、不快感だけではないのです!
吸い込んだ空気が通る気道は、表面に細かなニョロニョロがたくさんあり、
気道に入り込んだホコリや細菌などを入口方向に運んでいく機能があります。

気道が乾燥してしまうと、ニョロニョロたちが弱ってしまい、呼吸器感染症のリスクがグッと上がります。
なので、冬の環境の加湿は非常に重要なんです。

呼吸器というと、ヒトの耳鼻科で白い蒸気の吸入処置を受けたことのある方も多いと思います。
あれは、呼吸器を守るあれやこれやの薬剤を蒸気にしたものなんです。
それで気道を潤しつつ、あれやこれやの薬剤で症状を緩和するという非常に効果的な薬剤投与法です。
ネブライザー、ネブライジングなどと呼ばれます。

実は、ペットにもネブライザー処置が可能です。
呼吸器疾患で入院/通院している子に頻繁に使っています。

また、呼吸器感染を起こすウイルスは一般的に『乾燥した環境』の方が病原性を長く保ち、『湿度の高い環境』では病原性を失うのが速くなります。
ちなみに新型コロナウイルスは乾燥環境で3時間も病原性を維持できるそうです。

つまり、環境の加湿には、『気道を守る効果』と、『病原体を弱らせる効果』があるんです。
だから、乾燥する冬にインフルエンザの患者さんが多くなるんですね!

シニア期に入ると気道の機能が低下し、気管支炎や肺炎などを起こしやすいのは、ヒトもペットも共通です。
シニアの子と暮らしている方は、お部屋はしっかり加湿をしてあげてください!
ご自宅でネブライザー処置をすることも可能ですが、まずは加湿からやってみましょう!

獣医師 宮澤 裕

スロープ設置工事のお知らせ

新病院へ移転し、あっという間に1か月半がたちました。
診察も『予約の方が優先』の『時間帯予約』となり、皆様には混乱を招いたことと思います。
新型コロナウイルス対策として、ご理解いただけると幸いです。

そして、現状では病院の入口に段差があり、カートでお越しになられた方、車椅子をご利用の方に大変ご不便をおかけしております。
バリアフリー化のために、3月上旬から病院入口のスロープの設置工事が始まります。

工事期間中も診察は通常通り行っております。
入口付近は通行しにくくなることが予想されますが、
ご理解・ご協力をお願いいたします。

獣医師 宮澤 裕

猫の問題行動①

皆さん、こんにちは!今回は看護師の古川が担当させていただきます。

今回から私のブログでは数回にわたって「猫の問題行動」の予防や対応について紹介させていただきます。

今回はまず「猫」という動物について改めて紹介しようと思います。
①猫の起源
現在、お家で飼われているイエネコは約1万年前から人の生活圏に入り込んで家畜化された動物です。祖先はリビアヤマネコという動物です。
昔、穀物倉庫などに現れるネズミなどを狩るために、猫は人間の生活圏に頻繁に足を踏み入れるようになりました。
倉庫に住み着くようになり、肉食である猫は穀物に手を出す心配がなく、穀物を食い荒らすネズミなどの害虫・害獣を駆除してくれる番人としての役割を期待されるようになりました。
半野良のようなかたちで長い年月にわたり人と共生しつづけ、人に対して寛容である性質のものが生き残って家畜化されたようです。
最近の猫はさらに他種への耐性ができ、社会性・協調性が上がってきています。

②猫は夜行性ではない?
猫は夜行性で単独生活をする動物だと考えられていらっしゃる飼主様が多いと思いますが、しかし猫という動物は薄明薄暮性の動物です。
薄明薄暮性とは、早朝と夕暮れの時間帯に多く活動する動物のことです。夜行性ではないので日中のほうが夜間よりも1.4倍も活動します。
ちなみに犬は昼行性動物です!

③猫は警戒心が強く、デリケート
猫は縄張り意識が高いため、警戒心が強く様々な刺激に敏感な動物です。猫にとって安心・安全な場所に何か事情があって近づけなかったり、何者かによって縄張りを荒らされると猫は強いストレスを感じてしまいます。

④猫は高いところが好き
行動的な特性としては猫は上下運動が好きです。なので完全室内飼いの猫ではそれができるような高いところを用意しなければなりません。登っても安全な場所、登って何かを落としても問題のない環境整備が必要です。

⑤猫はキレイ好き
自身の体を舐め、汚れやほこりを落として皮膚を清潔に保ったり、トイレでは排泄物に砂をかぶせて隠す習性があります。
もともと単独で行動する動物ですので、自分の隠れている場所を気づかれないようにするためにニオイを消し、また病気にかからないよう清潔に保っています。

次回の私の担当回では「猫の問題行動」の予防や対応についてご紹介します。

来週は看護師の高木が担当します。お楽しみに!

子犬の甘噛みについて

こんにちは。今週は看護師の笹原が担当します。

今回のテーマは「子犬の甘噛み」についてです。
わんちゃんを飼ったことがある方なら一度は経験があるのではないでしょうか?

いつかなくなるからと諦めてしまいがちですが、放っておくと将来に『本気の噛み』につながりやすくなります。
そうならないためにも、生後5ヶ月くらいまでには、しっかり咬みつき抑制ができるように教えましょう。
実際に行ってほしいステップをご紹介します。

1.まずはロープ状のおもちゃを使った引っ張りっこや、ガムなどのかじるおもちゃを与えてエネルギーの発散を十分に行い、かじる欲求を満たしてあげましょう。

2.子犬同士の遊びでは、強く噛んだら噛まれた相手が「キャン」といって楽しい遊びが止まります。
これを応用し、子犬が甘噛みしたら「あっ!」や「痛い」と大きな声で一言いって子犬をおいて部屋の外へいきましょう。20秒程度で構いません。

一番大事なのは子犬が「人の手や足を噛むと楽しいことがなくなってしまう」と理解させることです。
一度行っただけでは効果はでにくいと思います。
実際に私の家で最近飼い始めた子犬も一度だけでは効果はでませんでした。
何度も行うことで子犬も理解できるのか、効果を実感することができます。

注意点としては以下の2点にご注意ください。
1.手で遊ばない!
手で遊ぶと、手をオモチャと誤解させてしまうため、手では遊ばないようにしましょう。
2.引っ張りっこは手加減を!
子犬は乳歯が折れてしまうことがあるので、引っ張りっこは手加減をしましょう。

もし今「甘噛み」にお困りの方がいらっしゃったら今日から是非、実践してみてください。
うまく定着しない場合は、専属トレーナーの亀井にご相談くださいね。