Category Archives: 病気のご案内

おすすめのセミナー

みなさん、こんにちは。
獣医師の五十嵐です。

クリスマスやお正月、バレンタインなど、冬は美味しいものを食べるイベントが盛りだくさんですね!
私もついつい、たくさん食べて毎年この時期は太ってしまいます。

ワンちゃんやネコちゃんのなかにも、親戚の集まりなどで美味しいものをもらう子がいたのではないでしょうか。
美味しそうにたくさん食べてる姿や、コロコロに太った姿は確かに可愛く見えますよね。
ただし、人間もそうですが、ワンちゃん・ネコちゃんも太っていると関節を傷めやすくなってしまいます。
基本的に関節症自体は治すことができません。
若い内から適切な食事や運動で予防をすることが重要です。

アイビーでは毎年、関節ケアとダイエットセミナーを開催しています。
シニアの子だけではなく、全年齢対象のセミナーです!
今年の詳細は以下の通りです。

日時:2020年3月1日(日)
場所:アイビーの待合室
費用:無料

☆事前にご予約をお願いします→コチラから予約ができます

この機会にダイエットや関節症について一緒にお勉強しましょう!

【キャットリボン運動】をご存知ですか?

キャットリボン公式HPへ

ワンちゃんもネコちゃんも、若いうちに避妊手術を受けたほうが《乳腺腫瘍》になりにくいことはご存知かと思います。
ただ、ワンちゃんとネコちゃんの乳腺腫瘍の基本ルールの違いまではあまり知られていないかもしれません。

最も大きな違いは、ワンちゃんは悪性腫瘍の割合が約50%であるのに対して、
ネコちゃんは乳腺腫瘍の約90%が悪性腫瘍であることです。

『ネコちゃんの乳腺のしこり』はとても怖いんです!
でも、しこりが2cmより小さいうちに摘出できれば、長く生きられます!

知っていれば我が子に活かせる『命』にかかわる知識があります。

【キャットリボン運動】は、乳癌で苦しむネコちゃんを無くすための運動です。

公式HPでは、日本最高の腫瘍内科医である小林哲也先生がわかりやすく解説されています。
若いうちに避妊手術を受けたネコちゃんでも、乳腺腫瘍は91%しか抑制できていません。
ネコちゃんと暮らす方はぜひ公式HPをご覧になってみてください。

また、2月15日(土)、16日(日)に開催される【ちよだ猫まつり】では、
キャットリボン運動のブースがあり、小林哲也先生のレクチャーも開催されます。
私が最も尊敬する獣医師です。
皆さんもレクチャーを聞いただけで元気が出てくること間違いなしです!

《ちよだ猫まつり》のご案内はこちら

アイビーペットクリニックは《キャットリボン運動》を本気で応援している公式スポンサーです。
ネコちゃんを救うために全力でサポートしていきます!

『がん』はご自宅で見つける病気です。
ご自宅のワンちゃん・ネコちゃんをよく触ってあげてくださいね!

獣医師 宮澤 裕

『殺人ダニ』がついに神奈川へ!

マダニから感染するSFTS

治療法がなく、ヒトの死亡率が20~30%と言われるSFTSを覚えていますか?
気温の高い西日本を中心に発生していましたが、ついに神奈川でも検出されました。

川崎で保護された猫さんです。
診察した獣医師がSFTSを疑い、国立感染症研究所で確定されたようです。

過去に、外猫さんのお世話をしていた女性が感染し、死亡したという報告がありましたね。
獣医師や動物看護師が感染した報告もありました。

≪ネコから獣医師ご看護師へ感染≫

それが他の地域ではなく、ついに神奈川でも・・・。

ざっくりとSFTSを復習しておきましょう。
・マダニが運ぶウイルスが原因の感染症
・ヒトがマダニに刺されて感染する
・感染者数は増えてきている
・マダニに咬まれてSFTSに感染したネコから、ヒトに感染する可能性がある
・治療法はなく、死亡率が高い(日本では2019年末の時点で約14%)
・感染を防ぐことが重要

2019年末までの『ヒト』の感染状況は国立感染症研究所HPで公開されています

≪国立感染症研究所HP≫

SFTS感染者数(国立感染症研究所)

感染を防ぐためには…

【ヒトがマダニに咬まれない工夫】
・茂みにはいらない(特に雨の翌日)
・ガーデニングやアウトドア活動は長袖で
 

【ペットがマダニに咬まれない工夫】
・即効型のノミ・マダニ駆除薬を選択する
・効果が100%の医薬品を選択する
・マダニがついたら駆除ではなく、通年予防

SFTS関連のQ&Aは厚生労働省HPがわかりやすいです。

≪厚生労働省HP≫

海外で新型インフルエンザが問題となっていますね。
温暖化などによる気温の上昇は、ウイルスや細菌など『病原体』が活発になる重要な要因です。
寒い地域よりも熱帯地域の方が感染症が多いのと同じです。

日本だから…、神奈川だから…と慢心しないようにしましょうね!

獣医師 宮澤 裕

クッシングの治療薬が復活!

クッシングの治療薬が復活

先日、『クッシング症候群の治療薬が国内で流通していない!』というご案内をしました。
現在は、すべてのサイズの『アドレスタン』の国内流通が再開しています。
お薬の費用が安くなり安心しました。
が、まだ流通が不十分なため、油断はできません。

そもそもクッシング症候群とは、副腎ホルモンが体内で過剰に分泌されることが問題です。
しかし、副腎の疾患ではなく、副腎に指令を出している脳の一部(下垂体)が黒幕なのです。

そして、『アドレスタン』は、『副腎ホルモンを低下させる』お薬です。
黒幕である下垂体が治る薬ではありません。
生涯、お薬を続けて過剰な副腎ホルモンから我が子を守るしかないのです。

国内の 『アドレスタン』 が途切れて【クッシング症候群】に苦しめられるのは避けたい。
海外の同一薬剤で治療費が高騰するのも避けたい。
そうだ!個人輸入しよう!・・・という発想に至る方もおられるかもしれません。

個人輸入は本当に危険なのでやめましょう。
獣医師が海外の医薬品ディーラーと契約を交わして手に入れる『海外の正規の医薬品』と
一般の方がWEBで入手する『海外薬の個人輸入品』は全く別物です。
『成分が安全かどうか』『ちゃんと効くか』が証明されておらず、ヒトでも健康被害が問題となっています。
もちろん 『ジェネリック』とも違うので、気軽に手を出してはいけません。

そもそも、『(WEBも含め)個人輸入業者からお薬を買う』という流れは法律で禁止されています。
厚生労働省HP

それでもWEB社会だけに、個人輸入し自己判断で使用されていることがあるようです。
ご自身の薬ならまだしも、ワンちゃん・ネコちゃんへ自己判断で診断・治療を行うのはとても危険です。
今後はWEB購入での自己判断での使用も規制が強まるようです。
新聞記事はこちら

『薬』は使い方次第では『毒』にもなりかねません。
私達は6年間の専門教育を受け、国家試験を合格して獣医師となります。
それでもすべての獣医師が同じ水準ではありません。
卒業後にどのような環境でどのような訓練を受けたかで、獣医師のスキルが決まります。
各獣医師の特性の違いは、ワンちゃん・ネコちゃんの飼い主様であれば、実感されていると思います。
普段の体調だけでなく、『薬』についても、信頼できると感じる獣医師にご相談くださいね。

ちなみに、【クッシング症候群】を完治させる治療法はまたの機会にご紹介しますね。

獣医師 宮澤 裕

豚コレラから学ぶ

豚コレラとペットの関係

『豚コレラ』というウイルス感染症が国内の養豚業界で流行しています。
※『豚コレラ』と『アフリカ豚コレラ』は別の病気です。

ヒトの食べる食肉になるため、豚コレラワクチンを打たずに感染した豚を殺処分することで流行を止めようとしたものの、収拾がつかずどんどん広がっています。

豚コレラウイルスは、豚とイノシシの体内で増殖するため、感染した動物だけ殺処分にすれば何とかなるはずですが…なぜ感染が拡大しているのでしょうか。

豚とイノシシ以外の野生動物の体内では豚コレラは増殖しません。
しかし、野生動物がウイルスを『運ぶ』役割を果たしているために、感染が拡大しています。
産業動物の獣医師はとても苦労しているようです。
 豚コレラについては農林水産省のHPをご参照ください

私たち小動物臨床の獣医師としては、今回のトラブルは他人ごとではありません。
日本のワンちゃん・ネコちゃんのワクチン接種率は先進国の中で最も低いことがわかっています。

《狂犬病について考える》

仮に、『狂犬病』が国内に入ってきた場合に、豚コレラと同じように広く拡大します。
豚コレラも日本では2007年から発生のない『清浄国』でした。
しかし2018年から国内での発生が確認され、たった1年で爆発的に拡大しています。

ちなみに『狂犬病』はすべての哺乳類に感染し、急激に命を奪う恐ろしい感染症です。

豚コレラの感染がさらに拡大すると・・・豚肉の価格が高騰していきます。
狂犬病が日本に入ってくると・・・動物だけでなくヒトも含めたあらゆる哺乳類が大量に死んでしまいます。
そもそも、狂犬病に感染した動物は殺処分となります。
ワンちゃん・ネコちゃんと暮らす私たちにとって、狂犬病は『今』は日本にないだけで豚コレラよりも怖い感染症なんです。

《混合ワクチンについて考える》

さらに、混合ワクチンで予防している感染症は、すでに国内に蔓延しています。
日本はワクチン接種率が低いため『集団免疫』は期待できません。
『我が子を守る』という目的で、毎年確実にワクチンを打ちましょう。

ワクチン接種が望ましくないワンちゃん・ネコちゃんは、ワクチン検査で免疫力を高く維持できていることを確認しましょう。
 ※ワクチン検査についてはこちら

豚肉の価格も心配ですが、我が子のワクチンも重要ですよ!

獣医師 宮澤 裕