ペット保険の選び方

みなさん、こんにちは。
獣医師の五十嵐です。

緊急事態宣言が解除されましたが、まだ以前のような日々が戻ってくるのには時間がかかりそうですね。

自粛期間中にペットを飼い始める方が増えた、というニュースがありましたが、確かに最近は子犬さん、子猫さんの来院が多いように感じます。
ペットを家族に迎えると、15年ほど(猫のギネス世界記録は38歳!)の年月を共に過ごすことになります。
毎年のワクチンや予防だけでも、意外と費用が掛かりますよね。
人間と違って、動物病院での治療は全額自己負担なので、病気などで動物病院にかかるとなると、さらに経済的な負担がかかります。
シニア世代になってからはもちろん、うっかり誤食をさせてしまったり、骨折してしまったりで、若いうちでも油断はできません。
そこで、医療費対策として、ペット保険に加入することをお勧めします。

現在、日本では損害保険会社5社、少額短期保険会社10社の計15社がペット保険を扱っています。
少額短期保険会社はセーフティネットの対象外なので、万が一保険会社が破綻してしまった場合は、契約が打ち切られてしまう可能性があります。
各会社の商品の特徴などを調べた上で、ご自身と我が子のライフスタイルにあった保険を選択しましょう。

<ペット保険の共通の注意事項>
・加入前の疾患に対する治療、予防、健康診断、不妊手術、妊娠、出産、帝王切開は対象外
・地震、噴火、津波による傷病は対象外
・1年ごとに更新
・一般的に高齢になるほど保険料は上がっていくが、一定の年齢以上は保険料が一律になるものも存在
・動物種や体格によって保険料の区分が異なる(体格が大きいほど保険料は高くなる)

<ペット保険を選択する基準>
どの会社の保険が『良い保険』なのでしょうか。
保険料が安ければいいかというと、そういうわけではありません。
会社によって、以下の条件が異なりますので、どの条件を重要視するのかによって『良い保険』は変わってきます。

◎契約可能年齢
人と同じく、一定の年齢以上になると、新たに保険に加入することができなくなります。
会社によって契約可能な年齢は異なりますが、中年齢以上になると加入できる保険が限られてしまうのでご注意ください。

◎更新可能年齢
現在はほとんどの保険が終身継続可能ではありますが、念のため、契約前にご確認ください。

◎適用範囲
通院、入院、手術のどこまでをカバーするか。
基本的に、適用範囲が入院・手術のみの保険の方が保険料は安いです。

◎精算方法
・窓口会計:人の病院と同じように、自己負担分だけを窓口で精算します。場合によっては自己申請していただくこともありますので、ご注意ください。(特殊な例に関しては、保険会社さんの規定によります。)
・自己申請:明細や簡単な書類を提出して、保険会社に後日かかった医療費を請求します。
     (診断書が必要な場合は、書類作成料をご負担いただく場合があります。)

◎補償割合
一般的には、医療費の補償割合が大きいほど保険金は高くなります。

◎支払限度額
一回の限度額や年間の限度額が設定されている場合があります。

◎支払限度回数
年間や月間の使用回数が設定されている場合があります。

◎免責金額
補償対象となる最低金額が設定されていると、治療費がそれ以下だった場合には治療費の請求ができません。
 (例:免責金額1万円の保険に加入している場合・・・胃腸炎になり、点滴と注射で9500円がかかった場合は、1万円に届いていないため、全額自己負担になります。)

◎特約
商品によって、我が子が他人に怪我を負わせたり、物を壊してしまったりした時の賠償金や弁護士費用の補助が出たり、車椅子作成時や、葬儀費用の補助金が出るように特約を付けられる場合があります。

我が子にとってどれが『良い保険』かについて、法律で制限されているため、動物病院スタッフはご相談に乗ることができません。
上記以外にも獣医師への電話相談が無料でできるサービスが付いていたり、WEB申し込みや多頭飼育で割引が入ったりと、各社それぞれの強みがあります。
気になる事は保険会社さんに電話して質問するとすんなり解決することが多いですよ。
我が子が若い内から、もしもの時のために備えておきましょう。