慢性腎臓病でも工夫すれば長生きできます

ネコちゃんの多くがかかる慢性腎臓病。
食欲不振、嘔吐、けいれんなどの症状を呈して、亡くなってゆく辛い病気です。
現時点ではまだ『治す』治療法はなく、『遅らせる』治療を頑張るしかありません。

しかし、上記の図のように『尿蛋白』を低く保つだけでも、生きられる期間が2.5倍近く延ばすことができます。
血液中のタンパクが腎臓を通り抜けて尿に出ていく際に、腎臓を傷めてしまうためです。

尿蛋白を減らす『セミントラ』という内服を使用します。

新型コロナウイルスの影響で、『セミントラ』の流通が止まっています。
8月に再開の予定でしたが、メーカーから年内は再開が不可能と連絡がありました。

セミントラはARBというグループのお薬であり、発売されたのは2014年です。
発売前は、ACEIというARBに近いグループのお薬を使って尿蛋白を低下させていました。
ワンちゃん・ネコちゃんの腎臓病の国際的な団体であるIRISのガイドラインでも、尿タンパクをARBまたはACEIで低下させると明示されています。

《IRISガイドライン》

セミントラを使用していたネコちゃんも、流通再開までは従来のACEIで尿タンパクを押さえながら元気に過ごしましょう!
我が家のネコさんもACEIを飲んでいます!

関連知識として、ここでいう『尿タンパク』は、通常の尿検査でいう『尿タンパク』とは計測方法が違います。
検査センターで特殊な測定をして数値化して判断します。
通常の尿検査で尿タンパクが出ていても焦る必要はありません。

また、食事やサプリでも腎臓寿命が伸ばせることが証明されています。
しかし、タイミングを間違うと逆に健康を害してしまう可能性があります。
命をつなぐためには、正しい知識が必要です。

このブログの内容も数年後には、時代遅れの内容となるはずです。
我が子を大切にする方ほど、WEBや噂の影響を受けやすいよういに思います。
我が子の『今』をもとにリアルタイムで獣医師と相談していきましょう!
アイビーの飼い主様向けセミナーは、内容を修正しながら毎年実施しています。
こちらもご活用ください!
(2020年のネコちゃんの腎臓病セミナーは12月に開催予定です。)

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獣医師 宮澤 裕

2 replies on “慢性腎臓病でも工夫すれば長生きできます”

  1. 石井明美 より:

    ネコさんの腎臓病に関するブログ配信ありがとうございます。ウチの子も腎臓病でお世話になっています。セミントラが切れてしまって、先生の診察を受けずに代替のお薬だけじゃない取り急ぎ出していただきました。効能等、どんなものかしらと不安に思っていた中でタイミングよくこのブログを読めて安心しました。
    ありがとうございました。

  2. アイビースタッフ より:

    コメントありがとうございます!
    生涯にわたって付き合っていく病気なので、お薬の流通が止まってしまって不安だったと思います。
    安心していただけたようで嬉しいです。
    皆様にお伝えしたい医療情報がたくさんあるのですが、なかなか更新できずすみません。
    これからも情報の配信を頑張っていきますね!

    獣医師 宮澤 裕

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