クッシングに隠れた高血圧症を見逃すな!

だいぶ間があいてしまいましたが、【クッシング症候群】に関するトピックスの最終回です。

さて、【クッシング】は病気のせいで過剰な食欲になるので、『元気によく食べて、背景で内臓がボロボロになっていく』という特徴がある病気でした。

お散歩仲間で『うちの子、シニアなのにとっても元気なの!』と言っていたワンちゃんが、『急に亡くなってしまった』という話を聞いたことがありませんか?

【クッシング】は背景で内臓がボロボロになっていくので、急には亡くならず、ヨボヨボになって苦しんでいくことが一般的です。

しかし【クッシング】+【高血圧症】となると、脳の血管が切れてしまったりして急激に体調を崩して亡くなってしまう確率が高まってしまいます。

ここで【クッシング】と【高血圧症】の関係の高さをご紹介します。
・クッシングの31~86%の子は高血圧症を合併する
・クッシングの治療で高血圧症が軽減することが多い
・クッシングの治療を始めても20~40%の子は高血圧が継続する
・クッシングの治療前に正常血圧だった子の30%は高血圧症に移行する
・60.8%の子はクッシングの治療だけでなく血圧を下げる薬が必要

ワンちゃん・ネコちゃんの【高血圧症】は頭痛をもたらすとされていますが、ペットの頭痛はなかなか把握できません。
症状が出るときには『脳内出血』『腎不全の発症』『失明』です。
これらはいずれも治せません。

ご自身も、1つの病気にかかった後に、芋ずる式に体調を崩した経験はありませんか?
【クッシング】は高血圧、膵炎、糖尿病などさまざまな病気を連れてきます。
『ツイていない』と運気のせいにしてはいけません。

【クッシング】と診断されたら、定期的に血圧を測定しておくことが理想です。
ペットの血圧測定は、実はご家庭でもできるんです。

《ご自宅での血圧測定についてはこちら》

《参考文献》※クリックで文献へ移動します
2020 Changes in systolic blood pressure in dogs with pituitary dependent hyperadrenocorticism during the first year of trilostane treatment

獣医師 宮澤 裕