決意表明!とがん学会のご報告

7月6日(土)、7月7日(日)はお休みをいただいてがん学会に参加してきました。
今回のがん学会では、『腫瘍』を得意とする獣医師が約830名集まったそうです。
今年のテーマは【軟部組織肉腫】でした。
腫瘍で転院されてこられる中で、最も多い腫瘍です。

21回がん学会のテーマは軟部組織肉腫

【軟部組織肉腫】には以下のような特徴があります。
・周囲に根を延ばす能力が高い
・遠隔転移は比較的まれ
・複数の腫瘍を含む『グループ名』

これらの特徴から、危険度の高い悪性腫瘍の一つでありながら、
『小さなうちに確実な手術をすれば完治が可能』なんです。
逆に、こじらせてしまうと足を切除する手術が必要になったり、
完治できなかったりします。

遭遇する頻度が高く、細かなルールが多く、
バリエーション豊富な挙動をとるため、しっかりとした知識が必要です。
今回のがん学会で知識の再整理、バッチリです!

【軟部組織肉腫】に限らず、腫瘍診療にカッコいい切り札はありません。
適切な診断ステップ、丁寧な手術前の準備、確実な手術のみです。
地道な積み重ねだけが『腫瘍』の完治につながります。
そして、治せない腫瘍の場合は、
ワンちゃん・ネコちゃんが旅立つところまで、
なるべく快適に過ごせるようにサポートすることを忘れてはいけません。
もちろん、ご家族の不安な気持ちはとても大きいはずです。

学生の頃から『腫瘍』の獣医師になると決めて特殊なトレーニングを受けていました。
私自身が『腫瘍』で愛犬・愛猫を失っています。
その頃から、ご家族も背負っていく気持ちに変わりはありません。
今回のがん学会でも、新たに気が引き締まる思いでした。

しかし、直接ではないのですが、ある病院紹介サイト
『横柄になった』とのご指摘をいただきました。
そして、その自覚がないこともご指摘いただきました。

『腫瘍』と闘うペットやご家族を背負うつもりが、できていないことを恥ずかしく思います。
今回はありがたいご指摘をいただきました。
さらに強い決意のもとに日々の診療にあたりたいと思います。
現状では残念なご指摘をいただく獣医師ですが、改善していくという決意表明です。
今後のアイビーにご期待いただけると幸いです。

獣医師 宮澤 裕