意外と知らない健康のマメ知識《腎臓編》

今回はマメ知識の前段階として、『腎臓病の基本』をご紹介します。
腎臓の健康を知るうえでとても重要な部分です!

腎臓関連のマメ知識

その1《慢性腎臓病は治せない》
慢性経過をたどって徐々に失われていった腎機能は取り戻せません。
徐々に線維化を起こし、カチコチで小さくなっているためです。

その2《腎臓が75%壊れるまで発見不能》
数年前までは、腎機能が25%程度まで低下するまで発見できませんでした。
そこまで腎臓が弱るまで症状が出ないこと、
血液検査でも検出できないことが原因です。
腎臓が弱ってきても頑張って体を守ってくれていたのが、
残り25%になった段階で、一気に腎臓の限界を迎えていたんです。

腎機能検査の検出率

その3《腎臓マーカーで早期発見が可能に》
2016年にSDMAという腎臓マーカーが開発されてから、
腎機能が60%程度に低下した段階で発見できるようになりました。
つまり、『腎臓病の症状が出る前』に早く見つけて、
備えることができるようになりました!
ワンちゃん・ネコちゃんの腎臓病について最も権威のある
IRIS( International Renal Interest Society )でも、
腎臓病の診断ガイドラインに腎臓マーカーが組み込まれています。

腎臓病を早期発見

その4《急性腎障害は治療で腎機能が回復》
徐々に腎臓がカチコチになる【慢性腎臓病】ではなく、
いろいろな原因で『腎臓が障害された』時は【急性腎障害】であり、
適切な治療で障害された腎期能が回復します。
しかし、かならず元通りになるわけではありません。
障害されてからなるべく早く治療を開始することで、
回復率が変わってきます。

今回は『腎臓に関する基礎知識』でした。
この4点で、『あれ?』となる点があるはずです。
この違和感をもとに、次回はちょっと踏み込んだ内容に入っていきましょう!
お楽しみに!

獣医師 宮澤 裕