Category Archives: ワンちゃん関連

消化器サポート(低脂肪)トリーツ

「ご褒美としてオヤツを与えたいけど、膵炎や高脂血症の治療中でオヤツ選びが大変…。」とお困りの方はいませんか?

確かに、一般的なオヤツを食べてしまうと、膵炎が再発したり高脂血症が悪化したりします。
実は、治療中でも食べられるオヤツがあるんです。

「消化器サポート(低脂肪)トリーツ」です!

そもそも、なぜ「膵炎」には「低脂肪食」なのか?
脂肪は、「膵液」の分泌に大きく作用します。
脂肪が多いと膵液はより多くの分泌液を出そうとして、必要以上に活性化します。

膵臓が過剰な活性化に耐えられず、炎症を起こしてしまうと「膵炎」となります。

また、膵臓の炎症がもとで糖尿病を併発する場合があります。
そのため、膵炎の子は血糖値にも気を付けなければいけません。

このオヤツは「脂肪」を低くすることで膵臓に負担をかけず、高脂血症の療法食として健康を保ちます!
また、ワンちゃんが消化しにくい「食物繊維」が配合されているため、血糖値の上昇を穏やかにして糖尿病の併発予防も期待できます!

食事療法で頑張っているワンちゃんに、安心・安全のご褒美はいかがですか?
試供品もお渡ししているため、興味のある方はスタッフにお声がけください!

販売価格 1袋150g 851円(税込み)

誤食事故②レントゲンで見えないもの

おうち時間が増えている影響か、【誤食事故】が多発しています。
前回は【レントゲンで見えるもの】をご紹介しました。

今回は【パターン2:レントゲンで見えないもの】を2症例ご紹介します。

まずは1頭目のレントゲン画像を見てみましょう。

レントゲンでは異常な部位が見つかりません。
エコーで見ると胃の中に何かあるようです。
吐かせる処置で無事に『プラムの種』を吐き出してくれました。

2頭目のレントゲン画像も見てみましょう。

やはりレントゲンでは何も異常がなさそうです。
エコーで見ると、胃の中に何かウネウネしたものがありそうです。
エコーで消化管をみると、画像の右端のようにキラキラが画面の下方向に伸びていくのが正常です。異物があるとそこから下のエリアが真っ黒に見えます。
内視鏡で大量のサランラップが摘出できました。

レントゲン検査は、お腹全体の状況を把握したり、石や金属のような硬いものを評価することに向いています。

一方、エコー検査はお腹全体を把握することは不向きですが、硬くないものを見つけたり、臓器の動きを評価することに向いています。

いずれにしても《誤食事故》に関して重要なことは以下の
・誤食しそうなものはワンちゃん・ネコちゃんの届くところに置かない。
・誤食してしまったらすぐにご連絡をください。
・誤食したかも・・・という時もすぐにご連絡をください。
時間がたてばたつほど開腹手術による摘出が必要になってしまいます。

おうち時間が増え、ペットと過ごす時間が増えた方も少なくないと思います。
我が子と楽しい時間を過ごしましょうね!

獣医師 宮澤 裕

おうち時間が増えると誤食が増える!?

新型コロナが蔓延してから『3密』『おうちじかん』など、新しい生活様式へ変わってきました。
その影響か、ワンちゃん・ネコちゃんの【誤食事故】が大変増えています。
普段から気を付けていても、ペット達はたった一回の油断を見逃しません。

代表的なパターンをご紹介しますので、我が子の『誤食防止』に活かしましょう。

今回は【パターン1:レントゲン画像で見えるもの】です。

レントゲン撮影では金属や石などの『固いもの』はくっきり見えます。
これらが消化管内にあることは診断に苦慮することはありません。
これらを内視鏡で摘出したり、開腹手術で摘出したりします。

飲み込んでしまった!とすぐにご来院いただくと、開腹せずに内視鏡で済む可能性が高まります!

咬みちぎった電気ケーブル
金属製のワッシャー
飼主様にもわからないナゾの異物
大量の石

しかし、「金属」や「石」を誤食した子が、他の何かを誤食していない保証はありません。
レントゲン画像で「みえない何か」が消化管内にあれば、「見えるものだけ」摘出しても意味がありません。
「みえない何か」がないか、エコーなどを駆使して見極めてから摘出します。

繰り返しになりますが、飲み込んでしまった!とすぐにご来院いただくと、開腹せずに内視鏡で済む可能性が高まります!

次回は「レントゲン画像ではみえない何か」を誤食したパターンをご紹介します。

獣医師 宮澤 裕

肝臓癌は諦めてはダメ!

今年はたくさんの【肝臓癌】の子と出会いました。
我が子が【肝臓癌】と言われたら、大きなショックを受けると思います。
しかし、他の腫瘍と大きく異なる特別ルールがたくさんある特殊な腫瘍です。
正しい診断と治療を受けられれば、長く生きられることが知られています。
今回は肝臓癌についてご紹介します。

《診断》
肝臓癌は、ヒトと同様に無症状のまま隠れて進行します。
つまり、多くの場合は『健診目的の人間ドック』で見つかります。
見つけることはエコーで簡単に見つけられますが、
良性か悪性かの判断において、
『細胞診』は診断の”信頼度が46.9%”しかないことが報告されています。
むむむ・・・。

良性か悪性かについて正しい診断を得るためには、
しこりを部分的に切除して病理検査を受ける必要があります。
つまり、一度お腹を開いてしこりの一部を切除しなければなりません。

《生存期間と手術の関係》
上記の『病理検査のためのしこりの切除』のみでは、
生存期間の中央値は270日とされています。
ここで、病理検査のための『最低限の手術』で傷を小さく…と考えずに、
傷は大きくなるものの、『肝臓のしこり全体の摘出』に踏み切ると、
生存期間の中央値が707日まで跳ね上がります。

そして、肝臓癌が単独であれば、多くの場合は『完治』してしまいます。
運悪くしこりのすべてが切除できない状況で見つかったとしても、
できる範囲での切除手術を受けることで生存期間の目標を707日に伸ばせます。

《手術以外の方法》
肝臓癌に有効な化学療法(抗がん剤)はありません。
もともと肝臓は体内の毒素を分解する役目をもつ内臓です。
お酒を飲むと肝臓で分解されるように、
投与された抗がん剤をお酒のように分解してしまうのだと考えられています。
しかし、分子標的薬というグループの内服を飲むことで、
67%のワンちゃんは肝臓癌の進行を止めたり遅らせたりできます。

《その他の要因》
もちろん、ワンちゃんの年齢や体力、他に併発している病気などによって大きく変わるため、ひとまとめにすることはできません。
逆に言うと、肝臓癌になってしまっても、癌の治療とともにワンちゃんの体のサポートも併用すれば、一緒に暮らせる期間が大きく伸ばすことができるのが特徴です。

ワンちゃん・ネコちゃんも2頭に1頭は癌になる時代になりました。
『がん』は怖いからこそ、健康なうちに早期発見しましょう!

獣医師 宮澤 裕

《参考文献》
2021 Factors associated with survival in dogs with a histopathological diagnosis of hepatocellular carcinoma: 94 cases (2007-2018)
2004 Massive hepatocellular carcinoma in dogs: 48cases(1992-2002)

ペットの新型コロナ陽性率!

新型コロナウイルスにさらなる新型が出たようですね。
国内でもオミクロン型の感染者が確認されたようです。

インフルエンザもそうですが、そもそも感染症はどんどん変異して当たり前です。
つまり、自分の身を守るには、基本である『手洗い・うがい・マスク・3密防止』が重要ですね。

今回は、”ペット”の新型コロナウイルスの陽性率をご紹介します。
私の母校である東京農工大学で感染症の研究をされている水谷教授による報告です。

上の表は、流行初期の各国の犬猫での陽性率です。
ポイントは、飼育者の感染の有無を制限せず大規模に行った調査という点です。
これからわかることは以下の2点です。
 ・一般社会での犬猫の感染率は低い
 ・ヒトの感染者が増えると、犬猫の感染率も上がる
  ※イギリスの4~7月と10~12月の変化から

次に、『飼育者が新型コロナ陽性』の犬猫に絞った集計です。
これからわかるのは以下の3点です。
・感染者のいる家庭のペットは感染しやすい
・犬よりも猫の方が感染しやすい
・感染してもほとんどのペットは症状が出ない

そうなると気になるのは、『ペット経由でヒトに感染するのでは?』という点だと思います。
現時点では、水谷教授の報告でも、世界獣医師会の報告でも、『ペットからヒトへの感染』は報告されていません。

結局、ご自身・ご家族・ペットを感染症から守るのは、一人一人の基本的な衛生対策に尽きるようです。

引き続き、アイビーでは空間の洗浄や、強力な換気で安全確保を行っていきます。
特に待合室は、広い空間で呼気が希釈されるだけでなく、
吹き抜けを含めた広い空間の空気が14分50秒で入れ替わる最新の換気システムを搭載しています。

窓やドアを開放することによる、ペットの緊張や脱走のリスクはありません。
ただ、換気が強力すぎてエアコンが効きにくい時間帯があるかもしれません。
ご理解・ご協力いただけると幸いです。
また、ご来院の際は極力お1人でお越しいただくなどのご協力もお願いいたします!

皆様もご自身の健康に配慮しつつ、充実したペットライフをお過ごしください!

獣医師 宮澤 裕