【犬アトピー】のマメ知識

ワンちゃんの約14%がアトピー性皮膚炎にかかっていると報告されています。
特にラブラドール・レトリーバーや柴犬などでの発症が多いことが知られています。
今回はそんな『ワンちゃんのアトピー』に関する問題です。

《問題》
以下の4つの中で、ワンちゃんのアトピー性皮膚炎に関する正しい知識はどれでしょう?

《選択肢》
①チョコレート色のラブラドールは黒いラブラドールよりもアトピーが多い
②子犬の頃に『皮膚用のフード』を食べて育つと、生涯にわたってアトピーが減る
③成長期を郊外で過ごした犬は、都会育ちの犬よりアトピーが少ない
④布製のベッドなどを使っているとアトピーになりやすい

《正解》
①~④全て正しい!

実は①~④の全てが正しいという意地悪な問題でした。

ラブラドール・レトリーバーの中でも、チョコレート色の子は、黒い毛色の子よりもアトピーの発症率が1.94倍高いことが明らかになりました。
2440頭も集めた気合の入った報告です。

そして、成長期に『皮膚用のフード』を食べていた子は、成長期に『市販フード』を食べていた子よりも、【アトピー】の発症率が約1/4に減ることがわかっています。

また、2019年には、成長期に自然の多い地域で育ったワンちゃんは、都会で育ったワンちゃんよりも【アトピー】になりにくいことも明らかになりました。
この報告では『現在の環境 』 が自然が多いか都会かは関係がないことも合わせて報告されています。

②③は成長期の要因であるため、今となってはどうしようもありません。
しかし、④の『布製のベッド』や『布製のソファー』を使用していると【アトピー】になりやすい点は、これからでも改善が可能です。
これはハウスダストなどが布製品にたまってしまうことが要因と考えられるため、ベッドやソファーのカバーをたまに洗うなどの工夫で改善できそうです。

①は【アトピー】が遺伝的な要因を持っていることと関連しています。
一方、②~④の項目は環境的な要因も影響が強いことを示しています。
とても納得のいく情報だったので、意地悪問題としてご紹介しました。

お散歩仲間で『うちの子アトピーなの』というフレーズを聞くことは少なくないのではないでしょうか。
【犬アトピー性皮膚炎】は、皮膚病のうちの約14%程度であり、それほど多くありません。
【犬アトピー性皮膚炎】の診断は複雑なステップを踏んでやっとたどり着くものです。
自己判断でワンちゃんの生涯を痒くしないように、お気軽にご相談くださいね。

獣医師 宮澤 裕

参考文献
・2015 The effect of long-term feeding of skin barrier-fortified diets on the owner-assessed incidence of atopic dermatitis symptoms in Labrador retrievers.
・2019 Environmental risk factors for canine atopic dermatitis: a retrospective large-scale study in Labrador and golden retrievers.