Category Archives: 病気のご案内

てんかんとは

みなさん、こんにちは。
獣医師の五十嵐です。

今回は神経・整形シリーズの第2回目として、『てんかん』とは何かについて取り上げます。

『てんかん』というのは病気の名前で、何らかの原因で『てんかん発作』を24時間異常の間をあけて、繰り返し起こしてしまうものを指します。
つまり、てんかん発作を起こす場合、病変部位は脳ということです。
この中でも脳に明らかな異常がある場合と無い場合があり、前者を『構造的てんかん』、後者を『特発性てんかん』と呼びます。
一般的には『特発性てんかん』を『てんかん』と呼ぶことが多いです。

『てんかん発作』というのは、脳の神経細胞の異常な興奮によってひき起こされる発作です。
また、『てんかん発作』が全身的に出るのか、体の一部にだけでるのかによって、『全般性発作』と『焦点性発作』に分けられます。

少し頭が混乱してきたでしょうか・・・

特に身体の一部だけに異常をきたす『焦点性発作』の存在を知っていただくと、今まで気づかれなかったてんかんの子をみつけることができるのではないかと思っています。
発作が軽いうちに治療を始めることで、後々大きな発作が起こって命を落とすリスクを下げられる場合もあります。

次回の私の担当の回は、てんかんの診断と治療について触れる予定です。

その行動は正常?異常?シニア期の行動の変化

こんにちは、今回は看護師の北島が担当させていただきます。

今回から、私の担当回ではシニア期をテーマに紹介させていただきます。
ペットの行動は、年齢、身体状態(疾患を含む)、精神状態などにより変化します。
その行動が飼い主様の生活に支障をきたす場合や、ペット自身が障害を受ける場合には『問題行動』と判断されます。

そこで、『問題行動』の中でも『シニア期』と関連するものをご紹介します。

《ワンちゃん》
・人間や他の動物に対する攻撃行動
・不安行動(恐怖、吠え、流涎、警戒)
・活動時間や遊びの減少
・排泄失敗の増加
・昼夜問わず吠える
・家族とのコミュニケーションの変化
・指示に従わない
・家の中や庭で迷う
・睡眠サイクルの変化(昼夜逆転)
・隅や角で動けなくなる

国内の調査では、シニア犬の44%が1つ以上の問題行動の症状を示しています。

《ネコちゃん》
・過剰発声
・排泄問題

アメリカでの調査では、猫の11~14歳齢で家族や同居動物との社会的交流の変化、15歳齢以上では無目的な行動や過剰な発声が多いという結果でした。

上記のリストをご覧いただいて気づいた方も多いかもしれません。

シニア期の『問題行動』の中には、認知症の初期段階や、病気によるものが数多く含まれています。
我が子の行動に異変がみられたら、『シニアだから』と決めつけず、お気軽にご相談ください。

病気であれば、治してしまいましょう。
本当の『問題行動』であれば、親子ともにつらいシニア期になる前に、改善または悪化を防ぐ取り組みを始めましょう!

ヒトは人生100年時代と言われるようになってきました。
ワンちゃん・ネコちゃんも快適な快適なシニア期を迎えられるようにサポートしてあげましょう!

ちなみに9月には【長生き準備コース】が開催されます。ぜひご参加ください!

長生き準備コース①『病気の早期発見』9月6日(日)
長生き準備コース②『ご家庭でできるシニアケア』9月13日(日)

次回のブログ担当は看護師・古川です。お楽しみに!

ワンちゃんもUVケアが大切!

【背部熱性壊死】という病名をご存知ですか?

ざっくりいうと、散歩中の背中の火傷です。
ヒトの【火傷(やけど)】ように赤く腫れぼったくなるだけで済む場合もあれば、重度の場合は手術が必要になることもあります。

2018年の文献によると、手術が必要になった子は12.5%にのぼるようです。

【背部熱性壊死】にかかりやすいワンちゃんの特徴は以下の通りです。
・毛色が濃い
・短毛(最近カットした子も含む)

暑い季節だけに、長毛の子はサマーカットにすることが多い時期です。
日光が皮膚にあたりすぎないように注意が必要ですね。
薄手の上着で直射日光を遮ることで、対策となりそうです。

また【背部熱性壊死】を呈した子達のうち、皮膚症状の前に軽度の熱中症のような症状を呈した子は約25%に過ぎないようです。
つまり、体に熱がたまるほどの長時間ではなくても、強い日差しにあたると【背部熱性壊死】を生じるということです。
涼しい時間帯を選び、水分補給をするだけでなく、直射日光への対策も必要ですね!

皮膚病の多い時期が続きます。
皮膚疾患は見た目の似た多くの疾患があり判断が難しい領域です。
アイビーには皮膚科の得意な獣医師がいますので、自己判断せずにお気軽にご相談くださいね。

《参考文献》
Dorsal thermal necrosis in dogs: a retrospective analysis of 16 cases in the southwestern USA (2009-2016).

獣医師 宮澤 裕

慢性腎臓病でも工夫すれば長生きできます

ネコちゃんの多くがかかる慢性腎臓病。
食欲不振、嘔吐、けいれんなどの症状を呈して、亡くなってゆく辛い病気です。
現時点ではまだ『治す』治療法はなく、『遅らせる』治療を頑張るしかありません。

しかし、上記の図のように『尿蛋白』を低く保つだけでも、生きられる期間が2.5倍近く延ばすことができます。
血液中のタンパクが腎臓を通り抜けて尿に出ていく際に、腎臓を傷めてしまうためです。

尿蛋白を減らす『セミントラ』という内服を使用します。

新型コロナウイルスの影響で、『セミントラ』の流通が止まっています。
8月に再開の予定でしたが、メーカーから年内は再開が不可能と連絡がありました。

セミントラはARBというグループのお薬であり、発売されたのは2014年です。
発売前は、ACEIというARBに近いグループのお薬を使って尿蛋白を低下させていました。
ワンちゃん・ネコちゃんの腎臓病の国際的な団体であるIRISのガイドラインでも、尿タンパクをARBまたはACEIで低下させると明示されています。

《IRISガイドライン》

セミントラを使用していたネコちゃんも、流通再開までは従来のACEIで尿タンパクを押さえながら元気に過ごしましょう!
我が家のネコさんもACEIを飲んでいます!

関連知識として、ここでいう『尿タンパク』は、通常の尿検査でいう『尿タンパク』とは計測方法が違います。
検査センターで特殊な測定をして数値化して判断します。
通常の尿検査で尿タンパクが出ていても焦る必要はありません。

また、食事やサプリでも腎臓寿命が伸ばせることが証明されています。
しかし、タイミングを間違うと逆に健康を害してしまう可能性があります。
命をつなぐためには、正しい知識が必要です。

このブログの内容も数年後には、時代遅れの内容となるはずです。
我が子を大切にする方ほど、WEBや噂の影響を受けやすいよういに思います。
我が子の『今』をもとにリアルタイムで獣医師と相談していきましょう!
アイビーの飼い主様向けセミナーは、内容を修正しながら毎年実施しています。
こちらもご活用ください!
(2020年のネコちゃんの腎臓病セミナーは12月に開催予定です。)

《アイビーの飼い主様向けセミナーはこちら》

獣医師 宮澤 裕

安心・安全バイオウィルが再入荷!

もう、7月です。
今年の半分が終わってしまいました…。

皆さんは、今年の最初に『今年こそ〇〇をしよう!』という目標を立てましたか?

私は、『スタッフが働きやすい環境に!』という目標をたて、今年の前半はなかなか良いペースで頑張れました。
春に加入した新スタッフも、先輩スタッフも良く頑張ってくれました。

アイビーは重い子がたくさん来院されるので、全スタッフがパワーアップすることが大切です。
今年の後半は、さらなるパワーアップが見られそうで楽しみです!


さて、収束しそうで収束しない新型コロナ。
油断せずに消毒や手洗いをしていますか?
外に出ると、ほとんどのお店で、手指消毒用のスプレー剤を置いていますね。

つい最近、『手指消毒用 希釈塩素』というスプレーを置いてある大型店舗がありました。
『塩素系漂白剤』を希釈して消毒液を作る方法が有名となりましたが、これは『物』を消毒するための消毒液です。

ご自身の手指やペットの消毒には使えないので、ご注意ください。

もちろん、アルコール系の消毒液もペットに使えません。
WEB社会の現在では、フェノール系、クレゾール系の消毒液も手に入りますが、これらはペットに使えないを通り越して『中毒』を起こします。

今回、ペットにも安全に使用できる『バイオウィル』が再入荷しました。
アイビーでも使用しており、受付カウンターにも設置しています。
ご来院の際には手指消毒にご利用ください。

ただ、院内用の大きなタンクでの流通のみのため、ご持参の容器への詰め替え販売とさせてください。
公平を期すために、形式上は1家庭3ボトルまでとします。
仮に、3ボトルご購入された翌日にまた3ボトル必要になった…場合は、必要なのであればOKとします。

【バイオウィルの300ml販売】
 ・容器をご持参いただき300mlを計量販売
 ・300mlで1000円
 ・予告なく終了します

診察以外でもワンちゃん・ネコちゃんや飼い主様の生活に貢献できれば嬉しいです。

安全にコロナ時代を乗り切りましょう!

獣医師 宮澤 裕