『豚コレラ』というウイルス感染症が国内の養豚業界で流行しています。
※『豚コレラ』と『アフリカ豚コレラ』は別の病気です。
ヒトの食べる食肉になるため、豚コレラワクチンを打たずに感染した豚を殺処分することで流行を止めようとしたものの、収拾がつかずどんどん広がっています。
豚コレラウイルスは、豚とイノシシの体内で増殖するため、感染した動物だけ殺処分にすれば何とかなるはずですが…なぜ感染が拡大しているのでしょうか。
豚とイノシシ以外の野生動物の体内では豚コレラは増殖しません。
しかし、野生動物がウイルスを『運ぶ』役割を果たしているために、感染が拡大しています。
産業動物の獣医師はとても苦労しているようです。
豚コレラについては農林水産省のHPをご参照ください
私たち小動物臨床の獣医師としては、今回のトラブルは他人ごとではありません。
日本のワンちゃん・ネコちゃんのワクチン接種率は先進国の中で最も低いことがわかっています。
《狂犬病について考える》
仮に、『狂犬病』が国内に入ってきた場合に、豚コレラと同じように広く拡大します。
豚コレラも日本では2007年から発生のない『清浄国』でした。
しかし2018年から国内での発生が確認され、たった1年で爆発的に拡大しています。
ちなみに『狂犬病』はすべての哺乳類に感染し、急激に命を奪う恐ろしい感染症です。
豚コレラの感染がさらに拡大すると・・・豚肉の価格が高騰していきます。
狂犬病が日本に入ってくると・・・動物だけでなくヒトも含めたあらゆる哺乳類が大量に死んでしまいます。
そもそも、狂犬病に感染した動物は殺処分となります。
ワンちゃん・ネコちゃんと暮らす私たちにとって、狂犬病は『今』は日本にないだけで豚コレラよりも怖い感染症なんです。
《混合ワクチンについて考える》
さらに、混合ワクチンで予防している感染症は、すでに国内に蔓延しています。
日本はワクチン接種率が低いため『集団免疫』は期待できません。
『我が子を守る』という目的で、毎年確実にワクチンを打ちましょう。
ワクチン接種が望ましくないワンちゃん・ネコちゃんは、ワクチン検査で免疫力を高く維持できていることを確認しましょう。
※ワクチン検査についてはこちら
豚肉の価格も心配ですが、我が子のワクチンも重要ですよ!
獣医師 宮澤 裕