Category Archives: ワンちゃん関連

《ワンちゃんの心臓病セミナー》

『〇〇ちゃんの心臓の音がおかしいですよ』とお伝えすると、
『でも、うちの子とても元気よ』と驚かれることがとても多いです。

心臓病の症状は以下のようなものが代表的です。
・咳
・腰が抜ける
・疲れやすい

『咳』『腰が抜ける』はわかりやすい症状ですが、
我が子の『疲れやすい』は、意識しなければ『老化』と区別できません。
もしくは、安静時の呼吸数を数えれば、症状が出る前段階を見つけられます。

『元気なんだからいいじゃない!』と思うかもしれません。
しかし、何とかして心臓病を早期発見・早期治療したい理由があります。

犬の心臓病の生存期間

最近の報告で『肺水腫を発症した後の生存期間』が明らかになりました。
これまで経験的に感じていたものが数値となった重要な研究です。
初回の肺水腫を無事に乗り切っても、その後の生存期間は1年が目標となります。
 ※参考文献はこちら(英語)

しかし、『肺水腫』を起こす前に心臓病を見つけ、
進行を遅らせてしまうことで長く元気に生きられます!

犬の心臓病と心臓の大きさ

早期発見の工夫や、心臓病との付き合い方など、
まさに命にかかわる知識を学んで損はありません!
2019年にはワンちゃんの心臓病の国際的なガイドラインが改定されました。
  ※ACVIMガイドライン2019はこちら(英語)

それも踏まえ、心臓病を得意とする獣医師・遠洞がわかりやすく解説します。
シニア世代のワンちゃん、または心臓病の好発犬種の飼い主様はぜひお越しください!
 ※好発犬種:キャバリア、ヨーキー、チワワ、マルチーズ、ダックスフンドなど

ワンちゃんの心臓病セミナーの詳細はこちら

獣医師 宮澤 裕

意外と知らない健康の小ネタ(2)

ノミ・マダニ関連のマメ知識

前回は『一斉風靡したフロントラインが廃れた理由』などをご紹介しました。
 ※詳細は前回の記事をご参照ください
今回は、生活に直結するノミ・マダニ関連の勘違いをご紹介します。

《ノミ・マダニの季節は夏?》

↓のグラフでわかるように、”今”が最もマダニの多い季節なんです。
最も暑い季節は、屋外で生活するマダニもしんどいのかもしれませんね。

しかも将来のある『幼ダニ』のピークです。
この時期にマダニをご自宅に持ち帰らないように注意が必要です!

マダニの生活環

《住宅街にはいない?》

当然、住宅街にもノミ・マダニがいます。
先日、アイビーの目の前の道路にタヌキさんがいました。
近くのゴルフ場で大繁殖しているそうです。
タヌキ、ハクビシンなどの野生動物、または外猫さんがノミ・マダニを運んでいるんです。

アイビー前でみつけたタヌキ

実は日本のマダニ分布を調べた文献もあるんです。
四季があり、地域によって気候が異なる日本は、諸外国に比べてマダニにも多様性があるようです。
その結果、農村を好むマダニだけでなく、市街地を好むマダニもいるそうです。
マダニにも個性があって可愛いような気がしてきます。

※参考文献:Ixodid tick species recovered from domestic dogs in Japan.

今回は、ノミ・マダニのトピックスの2回目でした。
また、誤解の多い内容や、身近な内容をご紹介していきます。
トピックスのご希望があれば、ぜひ教えてください!

獣医師 宮澤 裕

【オヤツ情報局】第1回は…

オヤツ情報局

9月1日の『防災の日』にちなんで、ワンちゃん用の非常食をご紹介します。

ヒトの『カンパン』のような『わんパン』です。
試しに食べてみましたが、ヒトが食べても普通に美味しい!
もちろん、医療用サプリ専門のメーカーが作っているため、
『病気の子でも食べられる』点がポイントです。

ワンちゃん用の非常食わんパン

1袋で5kgのワンちゃんの1日分のカロリーが補充できます。
保存期間も長いので、持っておくと安心だと思います。

ネコちゃん用の非常食はまだ開発されていません。
ネコちゃんは食べ物の好みもはっきりしているため、
食べ慣れている『いつものキャットフード』の小さい規格を常備しておくのが無難だと思います。

9月1日の『防災の日』はアイビーでも【ペットのための災害対策セミナー】を実施します。
『わんパン』だけでなく、様々な防災ノウハウをご紹介します!
ぜひご参加くださいね!

獣医師 宮澤 裕

『防災の日』は【ペットのための対策】も!

9月1日は『防災の日』です。
毎年、たくさんの災害が起こっていますが、災害時の備えはできていますか?

ペットのための災害対策セミナー

我が家では先日、子供と一緒に『非常食(ヒト用)』を食べてみました。
お湯だけでなく水でも作れるため、避難ごっことして子供が作れるくらい簡単でした。
食べ慣れておかないと…と覚悟していましたが、味は・・・美味しい!
ハンバーグなどのおかずもあり、普通に美味しい食事となりました。

ヒトの災害時の非常食や非常用の道具は、ホームセンターなどで簡単に手に入ります。
ところで、ワンちゃん・ネコちゃんと一緒に避難する時にはどのような備えをすればよいのでしょうか。

『避難』に関するガイドラインも変わってきています。
『マイクロチップ』も義務化されました。
ワンちゃん・ネコちゃんの保護者としては、このあたりの知識も知っておかなければなりません。

9月1日の防災の日に合わせて、
アイビーでも【ペットのための災害対策セミナー】を行います。
ぜひお越しくださいね!
 《セミナーの詳細はこちら》

獣医師 宮澤 裕

意外と知らない健康のマメ知識《腎臓編》

今回はマメ知識の前段階として、『腎臓病の基本』をご紹介します。
腎臓の健康を知るうえでとても重要な部分です!

腎臓関連のマメ知識

その1《慢性腎臓病は治せない》
慢性経過をたどって徐々に失われていった腎機能は取り戻せません。
徐々に線維化を起こし、カチコチで小さくなっているためです。

その2《腎臓が75%壊れるまで発見不能》
数年前までは、腎機能が25%程度まで低下するまで発見できませんでした。
そこまで腎臓が弱るまで症状が出ないこと、
血液検査でも検出できないことが原因です。
腎臓が弱ってきても頑張って体を守ってくれていたのが、
残り25%になった段階で、一気に腎臓の限界を迎えていたんです。

腎機能検査の検出率

その3《腎臓マーカーで早期発見が可能に》
2016年にSDMAという腎臓マーカーが開発されてから、
腎機能が60%程度に低下した段階で発見できるようになりました。
つまり、『腎臓病の症状が出る前』に早く見つけて、
備えることができるようになりました!
ワンちゃん・ネコちゃんの腎臓病について最も権威のある
IRIS( International Renal Interest Society )でも、
腎臓病の診断ガイドラインに腎臓マーカーが組み込まれています。

腎臓病を早期発見

その4《急性腎障害は治療で腎機能が回復》
徐々に腎臓がカチコチになる【慢性腎臓病】ではなく、
いろいろな原因で『腎臓が障害された』時は【急性腎障害】であり、
適切な治療で障害された腎期能が回復します。
しかし、かならず元通りになるわけではありません。
障害されてからなるべく早く治療を開始することで、
回復率が変わってきます。

今回は『腎臓に関する基礎知識』でした。
この4点で、『あれ?』となる点があるはずです。
この違和感をもとに、次回はちょっと踏み込んだ内容に入っていきましょう!
お楽しみに!

獣医師 宮澤 裕