こんにちは!獣医師の五十嵐です。
今回は、よくあるのに意外と見落とされているわんちゃんの病気をご紹介します。
皆さんのおうちの子は手をしきりに舐めていたり、耳の後ろや首を引っ掻いたりしていることはありませんか?
これからの季節は、皮膚や耳が痒くなって引っ掻く子が増えてきます。
しかし、皮膚や耳がなんともないのにこのような症状がある場合、それは『脊髄空洞症』かもしれません。
よくみられる犬種は、キャバリア、チワワ、ポメラニアンなどのトイ犬種です。
この子たちは、頭が丸くてかわいらしい子が多く、それ故、後頭骨や頸椎付近の奇形が多く発生します。
そうすると、脳脊髄液の流れが悪くなってしまい、脊髄に空洞ができると考えられています。
これは、人間にも存在する病気で、日本では難病指定されています。
患者さんたちは、首から手先にかけて針で刺されたような激痛が走ったり、虫が這っているような感覚がしたりするそうです。
わんちゃんたちはお話しできませんが、おそらく同じような異常感覚に襲われて首を引っかいたり、手を舐めたりしているのではないかと思います。
わんちゃんの脊髄空洞症のほとんどは、人間が自分たちにとって可愛くなるように品種改良していったために、起こる頻度が増えてしまった病気の一つです。
このような病気があると知っていただくだけで、毎日痛い思いをしているわんちゃんたちを救うことができるかもしれません。
もしご自身が飼育していなくても、周りにトイ犬種を飼育しているお知り合いがいたら、ぜひ教えてあげてくださいね。